for fontplus
Illust 3
Illust 1
1/100ミリの世界 和歌山・桐家具「家具のあづま」
2026.05.13
1/100ミリの世界 和歌山・桐家具「家具のあづま」

東 福太郎

桐箪笥職人 有限会社家具のあづま。漆の特殊技法や螺鈿細工、最新テクノロジーを取り入れたものづくりや、企業とのコラボレーションを行っている。

紀州箪笥

木地の成形後に研磨を重ね、下地処理を施したうえで漆や塗料を何層にも塗り重ねて仕上げる工程を持つ。素材には軽量で防湿性に優れた桐材が用いられ、衣類や着物を保管する家具として使用される。

和歌山県紀の川市で、1891年から130年以上にわたって桐箪笥を手がけてきた「家具のあづま」。桐は軽く、湿気に強く、燃えにくい。墨付けから組手、鉋がけ、焼き桐の仕上げまで――1/100ミリの精度で木と向き合う、職人の手仕事。

1/100ミリの精度で、桐と向き合う

和歌山県紀の川市。紀州桐箪笥の産地として知られるこの地で、1891年に材木業として創業し、130年以上にわたり桐家具を手がけてきた「家具のあづま」。木の選定から製材、加工、塗装仕上げまで、すべての工程を自社で一貫して行う。
桐は軽く、湿気に強く、燃えにくい。古くから衣装や財産を守る箪笥の素材として重宝されてきた。一本の桐から、ひとつの箪笥が生まれる——その仕事は、1/100ミリ単位の精度を求められる世界だ。刃を研ぐ音とともに、職人の一日が始まる。
最初の工程は「墨付け」。設計図を描くようにして桐に線を引いていく。一本の線に、職人の経験と勘が宿る。桐は湿度で息づく生きた木であり、その日の状態を読みながら作業は進む。
鋸で切り、鑿で組手を整え、鉋で表面を仕上げると、桐の肌が現れる。「包み蟻組み接ぎ」「包み打ち付け接ぎ」といった伝統的な接合技法は、接着剤に頼らず、木と木が噛み合う強さで箪笥の骨格を成す。木釘がそれを支え、百年経っても歪まない構造をつくり上げていく。
仕上げは「焼き桐」。炎で焼いて煤を落とし、柿渋と砥の粉を塗り重ねて磨き上げる。桐の風合いは時を重ねるほど深まり、暮らしに寄り添う木の記憶となる。
#Artisan#職人#和歌山#桐家具#伝統#歴史#日本文化#技術#伝統工芸#伝統工芸士#紀州箪笥
よろしければ、記事の感想を教えてください
シェア
関連する記事
職人たちの一日シリーズの記事