

自然の恵みと人の手が、一本の灯りになるまで
愛媛県内子町。江戸時代から明治時代にかけて木蝋の生産で栄え、当時の繁栄を伝える白壁の町並みが今も残る。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたこの町の一角に、四国でただ一軒となった和蝋燭店「大森和蝋燭屋」がある。和蝋燭づくりは、芯となる「灯芯」をつくることから始まる。竹串に和紙と灯芯草(イグサの髄)を巻きつけ、真綿で止めて完成させる。その芯に、ハゼの実から採れる植物由来の「木蝋」を塗り重ねていく。
工程の核となるのが「生掛け」と呼ばれる伝統技法だ。40〜45℃に溶かした木蝋を素手ですくい上げ、灯芯を手のひらで転がしながら蝋をすりつけていく。木蝋は融点が低く、温度管理が仕上がりを大きく左右する。だからこそ職人は素手で温度を感じ取り、その日の湿度や乾燥に合わせて作業を進めていく。
塗っては乾かし、塗っては乾かし、何度も繰り返して少しずつ太くしていく。仕上げに手のひらの摩擦で表面に艶を出し、あえて縦線を残すことで樹木のような質感に仕上げる。最後に温めたコテで芯を出し、一本一本の長さを揃えれば和蝋燭の完成だ。
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