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日本でただ一つ、和銑の鉄瓶 山形・山形鋳物「菊地保寿堂」
2026.05.13
日本でただ一つ、和銑の鉄瓶 山形・山形鋳物「菊地保寿堂」

菊地 規泰

菊地保寿堂 15代当主。伝統工芸の鋳物づくりに取り組み、変化を取り入れた製品開発を行う。

山形鋳物

砂型を用いて鋳造し、細かい粒子の川砂と山砂を調合して繊細な表面を形成し、仕上げに焼きながら漆を複数回塗り重ねてコーティングする。素材は鉄と漆を中心とし、安全性の高い天然素材を用いる。主にティーポットや調理器具など、日常の生活道具として使用される。

山形県山形市。慶長九年(1604年)創業、420年以上にわたって鋳物を手がけてきた「菊地保寿堂」。日本古来の鉄「和銑(わずく)」で鉄瓶を造る、現在では唯一の工房だ。砂を調合し、鉄を溶かし、型に注ぐ。一度きりの工程に向き合う、職人の時間。

鉄と向き合い、手の感覚に託す

山形県山形市。約960年前に発祥したとされる山形鋳物の地で、慶長九年(1604年)に創業して以来、420年以上にわたり鋳物を手がけてきた「菊地保寿堂」。日本刀と同じ日本古来の鉄「和銑(わずく)」を使い、鉄瓶を造ることができる現在唯一の工房である。
鋳物づくりは、型をつくる砂の調合から始まる。丸い粒の砂は表面を滑らかにし、角のある砂は強く締まる。砂の配合次第で、仕上がる鉄の表情が変わってくる。山形鋳物の特徴は、この砂づくりにあると言ってもいい。
次の工程は、鉄を溶かすこと。温度と時間の見極めは、すべて職人の感覚に委ねられている。やがて溶けた鉄は型に流し込まれるが、これは一度きりの作業。やり直しがきかない緊張感の中で、職人は鉄の動きを読み切る。
注がれた鉄が冷めるのを待ち、型を外すと鋳物のかたちが現れる。つなぎ目の余分な鉄を削り、注ぎ口を調整して使い心地を整える。鉄瓶の内側にはホーローを施し、その厚さを均一に揃えるのも熟練の技だ。最後に漆を塗り、火で焼き付けて錆を防ぐ。
鉄と向き合う時間は、手の感覚と向き合う時間でもある。本物を残すために、この場所はある。
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