


空を見上げ、茶葉と向き合う
奈良県吉野郡。古くから天日干し番茶の産地として知られるこの地で、嘉兵衛本舗は江戸時代から続く茶づくりを受け継いでいる。この地域で古くから製造されてきた「吉野大淀日干番茶」は、機械ではなく、太陽の光と風、水、土を生かした昔ながらの製法で仕上げられる。
お茶づくりは、蒸し上げた茶葉を一面に広げることから始まる。日差しを浴びた茶葉を手作業で返しながら、表と裏を均一に乾かしていく。雲が近づけばすぐにシートをかけ、晴れれば再び天日に戻す。その繰り返しが、まろやかな香りとやさしい味わいを育てていく。
天日干しは、自然が相手の仕事だ。季節や天候によって乾き方は変わり、空を見上げながら作業の手を止めることもあれば、一気に茶葉を動かすこともある。陽の光、風、そして職人の経験。そのすべてが、お茶づくりの工程となっている。
手間を惜しまず、自然のリズムに寄り添いながら受け継がれる天日干し番茶。その一杯には、吉野の風土と職人の営みが静かに息づいている。
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